第1回 「論理」


1. 論理(logic)とは
  すじ道の立った思考や議論の進め方。
  数学で扱う論理は、命題(Proposition)を対象。
  命題(Proposition):客観的にその真・偽を判定できる記述。

2. 命題と真理値
  命題は、その真偽が客観的に判定できる文、式、記号などの記述である
  命題のとる真・偽という値を真理値とよぶ
(例)
1+2=3 :真の値をとる命題
1+1=3 :偽の値をとる命題
3は素数である :真の値をとる命題
最小の素数:命題でない(真・偽以外の値)
明日は雨でしょう:命題でない(真・偽が不明)

3. 命題の合成
  命題:「今日の天気は雨で、かつ、風が強い」
     = 「今日の天気は雨である」 + 「今日は風が強い」
  複合命題:基本命題を組み合わせた(合成した)命題。

4. 論理演算
  命題の合成は、演算のひとつ。
 論理演算子
  A:「今日は天気は雨である」という命題を表す命題変数
  B:「今日は風が強い」という命題を表す命題変数
   とすると、
 (1)論理積(and)「かつ」 ∧
     A ∧ B:「今日の天気は雨で、かつ、風が強い」
         という、複合命題(論理積)を表す

 (2)論理和(or)「または」 ∨
     A ∨ B:「今日の天気は雨か、または、風が強い」
         という、複合命題(論理和)を表す

 (3)否定(not)「かつ」 〜
     〜A:「今日の天気は雨でない」
         という、複合命題(否定)を表す

 (4)排他的論理和(xor)「exclusive or」 AまたはBのどちらか一方
     A B:「今日の天気は雨、または、風が強いかのどちら一方である」
         という、複合命題(排他的論理和)を表す

5. 真理値表(Truth table)
  論理式: 命題を変数や記号を用いて表したもの
  (例)A ∧ B、 〜(A ∨ B)、・・・・

  真理値表: 論理式と変数の真理値を対応づけた表
     真 → T, 1
     偽 → F, 0   で表す。

(1)A ∨ Bの真理値表
ABA ∨ B
000
011
101
111

(2)A ∧ Bの真理値表
ABA ∧ B
000
010
100
111

(3)〜Aの真理値表
A〜A
01
10
(4)A Bの真理値表
ABA B
000
011
101
110

6. 論理式の公式
(1)べき等則A∨A= A, A∧A= A
(2)交換則A∨B= B∨A, A∧B= B∧A
(3)分配則A∧(B∨C)= (A∧B)∨(A∧C)
A∨(B∧C)= (A∨B)∧(A∨C)
(4)結合則(A∨B)∨C= A∨(B∨C)
(A∧B)∧C= A∧(B∧C)
(5)吸収則A∨(A∧B)= A
A∧(A∨B)=A
(6)その他A∨1= 1, A∧1=A
A∨0= A, A∧0=0
A∨〜A= 1, A∧〜A=0
(7)ド・モルガンの定理〜(A∨B)= 〜A∧〜B
〜(A∧B)= 〜A∨〜B

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