ご挨拶
「時を旅する大学」
秋田公立美術大学は、今年、4年制大学として開学し10周年を迎えました。
10年とはいえ、その歴史の懐は深く、1952年開学の秋田市立工芸学校、秋田公立美術工芸短期大学と実に70年の美術工芸の地域に貢献する時を重ねてまいりました。
「領域横断」と「複合芸術」
秋田公立美術大学としての「基本理念」には、現代日本の新しい価値観を地域文化とともに再構成することにより、新しい可能性を見出すビジョンが謳われています。
その一つに領域を横断することによって生まれる新しい芸術表現の可能性を見出すことがあり、4年間という自由で独自の学部の教育基盤を構築する意気込みが読み取れます。さらに、2年間の大学院修士研究科、3年間の博士研究科の「複合芸術研究」で実践される表現を支える柔軟性のある研究意識を持つことは、新しい解釈としての芸術表現の誕生が期待されます。
言葉が宿る作品
学部の4年間、あるいは大学院博士までを含めた9年間、専門領域の特性を学びながら、自身の芸術表現を創造することを目的としますが、表現のプロパーとしての「自分の真の言葉」を見つけ出してほしいと思います。「自分の言葉」を持つことは、作品のみならず、社会の中でもとても大切なことであり、その言葉の中に秘められた、又はアートの中に秘められた精神は世界のどの国でも理解され豊かなものに成長するものと思うのです。
秋田公立美術大学 学長
北 郷 悟