五城目 10/30(日)

『朝市と地政学』

[形式]
レクチャー
[日程]
10月30日(日)9:00〜12:00
[拠点]
福禄寿
[担当]
小松和彦(小松クラフトスペース代表)
渡邉康衛(福禄寿酒造株式会社代表)
[概要]
AKIBIPLUSで通底して流れるのは、「尖ったよそ者目線で五城目を見る」です。郷土史研究家の目線から見える五城目、蔵元から見える五城目をお話いただき、「五城目って本当に変わっているな〜」と参加者に感じて欲しいと思っています。第三回は郷土史研究家の小松氏と福禄寿蔵元渡邉氏をお招きして、
普段開放されていない福禄寿内の有形文化財のお部屋にてお庭を望みながら開催します。どうぞお越しくださいませ!
※ご予約は不要ですが、限られたスペースのため先着順となります。

レポート

日曜日の朝市が行なわれている傍らで、小松クラフトスペースの小松和彦さん、五城目の酒造「福禄寿」の渡邉さんのトークイベントが行われた。生まれも育ちも五城目という渡邉さん、渡邉さんと幼馴染で五城目には昔から遊びに来て、現在もフィールドワークでよく訪れるという「半よそ者」の小松さん。五城目については観光パンフレットから得られるくらいの薄い知識しかなかったので、お二人の「地元トーク」に近いお話から、文献や調査・発掘から得られた話は初めて聞く事ばかりだった。

小松さんからは、5つのテーマでお話がありました。1つ目が「縄文の漆」。五城目の遺跡から見つかったのは、漆の布。全国でも珍しいこの漆は、本来もっと注目されてよいものと他の地域との比較した事例を踏まえてご紹介がありました。
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2つ目が「中世の香り」。朝市の端にある高性寺に入ってすぐ左には山王権現の社屋があります。中世に領土を拡大していくときに、要所に山王権現を設置しており、秋田にもいくつか社屋があります。その中で高性寺では寺の境内に山王権現が位置しており、この作りは鎌倉の鶴岡八幡宮、京都の下鴨神社と同じ構造で、どれも中世に作られたもの。朝市ははじまってから500年を経っていますが、その始まりが高性寺と深く関わっていることを感じました。
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3つ目が「畠山鶴松翁」のお話。秋田叢書の中でたまたま見つけた”村の落書き”。それは五城目町の組田地区の畠山鶴松翁が書き記したものでした。1800年代後半に生まれた鶴松翁は、決して本にすることを目的に作ったのではなく、「こどもや孫たちの笑うネタになればいい」と思い、忙しい農作業の合間に20年間かけて制作したものでした。中には詳細に当時の暮らしが書き綴づられており、小松さんは「ユネスコ文化遺産に匹敵する内容である」とおっしゃっていました。

4つ目は「遊郭」。小松氏はこの講演の1週間前に「秋田県の遊郭跡を歩く」を出版したタイミングでした。その中で、五城目にある料亭”松鯉”を大きく取り上げています。八郎潟干拓事業で多くの労働者が地域にはいって来た頃、当時の遊郭でおきていた人間模様は想像を絶するものでした。

最後に「食堂の町」。五城目にも鉄道が走っていたころ、駅舎の周りに多くの食堂ができました。今でも6軒の食堂が残っていますが、大手雑誌では空前の「レトロ食堂ブーム」とのことで、これから五城目の観光の目玉になるのではないかとおっしゃっていました。
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小松さんの講演の後、渡邉さん、山本先生、小松さんの3人でクロストークを展開。酒造りをしていた山内杜氏の話しから、五城目のだまこ鍋の発祥の起源まで、幅広い話題が展開されました。
今までで一番濃密な”地元トーク”な講演会でした。

 

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