11月3日から15日まで、秋田市民俗芸能伝承館・旧金子家住宅で本学大学院2年生の栗原李佳、櫻井莉菜、美術作家の小川美陽による展覧会「Where I am, Anyways」を開催します。


 大阪を拠点に活動する写真作家の小川美陽と秋田公立美術大学大学院に在籍する栗原李佳による展覧会「Where I am, Anyways」を開催します。両者は、写真というメディアを出発点に、自身の記憶や過去の出来事との距離感を伸縮させるように、実験的な表現活動をおこなっています。本展は、2人が共に訪れた秋田県鹿角市でのリサーチと、各々が住んでいる場所の距離感を保ちつつ、1人でおこなった2つのリサーチをベースに制作したものです。
 栗原は生前あまり親交のなかった祖父の死をきっかけに、秋田県に住んでいる親戚の存在を知り、祖父が10代半ばまで過ごしたという秋田県雄勝郡羽後町に向かいました。一方、2019年に祖母という身近な人物をテーマに作品を制作した小川は、その後祖父母が住んでいた家に暮らすようになります。親からよく聞いていた祖父の故郷である兵庫県たつの市室津に興味を持ち始めていました。こうした経緯のもと、それぞれの祖父が過ごした場所を孫である栗原・小川が訪れ、彼らの見ていた景色を想像しながら、2人は手紙のやりとりをおこないました。
 記憶や時間といった目に見えない対象や、痕跡しか残されていない事象に対する両者のアプローチは、自己や他者を肯定するためのひとつの方法として、わたしたちが今この場所で生き抜くためのヒントになるかもしれません。


「Where I am, Anyways」

会期:2022年11月3日(木・祝)~ 11月15日(火)
時間:9:30~16:30
入場:100円(秋田市民俗芸能伝承館・旧金子家住宅入場料)
   高校生以下観覧無料。身体障害者手帳、療育手帳または精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介護をする方1名は無料です。
場所:旧金子家住宅(秋田市民俗芸能伝承館)


プロフィール

・小川美陽
1996年大阪府生まれ。2020年奈良県立大学卒業。
時間的要素や痕跡として写真を扱い、過去の一点を現在 / 自分の側に引き寄せるように制作をしている。
主な展示に「Story Fishing」(Gallery NEUTRAL、京都府、 KG+2022)、「Not the moon, not the wind」(KOKUSAI SOUSHOKU CO LTD、東京)、「WHEREABOUTS TOKYO 2022」(ターナーギャラリー 、東京)などがある。

・栗原李佳
1998年東京都生まれ。2021年多摩美術大学卒業。現在、秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科修士課程に在籍。
イメージや記憶といった人間の精神世界と、物質として存在している世界の関係に興味を持ち、制作を行っている。写真を用いて記憶を対象化し、距離をおいてそれらを捉え直すことを試みる。
主な展示に「ボーダーを渡る」(Gallery Wolke、東京都)、「滓(スラグ)」(新屋NINO、秋田県)などがある。

・櫻井莉菜
1998年栃木県生まれ。2021年奈良県立大学卒業。現在、秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科修士課程に在籍。
展覧会やプロジェクトの企画実践を通じて、アーティストや鑑賞者など、展覧会の場に集う人たちがどのような関係性を築けるのかについて関心がある。
主な展示に「滓(スラグ)」(新屋NINO、秋田県)、「例えば(天気の話をするように痛みについて話せれば)」(BIYONG POINT、秋田県)などがある。


会場
秋田市民俗芸能伝承館・旧金子家住宅
〒010-0921 秋田県秋田市大町一丁目3番30号

注意事項
新型コロナウイルス感染症の感染状況によってイベントの内容が変更になることがあります。詳細は、秋田公立美術大学大学院ウェブサイトをご確認ください。