美術学部 美術学科ものづくりデザイン専攻
素材と地域からしなやかに学ぶ人に
古来、日本において工芸とデザインはひとつでした。近代化の波に揉まれ、分離された両者を、今「心と身体」と「暮らし」を拠り所に再統合しようと設立されたのがものづくりデザイン専攻です。
国内随一の規模と設備を持つ工芸スタジオ群を利用し、木工・漆芸・彫金・陶磁・染色・ガラスなどの素材の技法と知識を学び、探求することができます。また自らの身体感覚が素材に合わせて変化していく過程から、思考力と五感を鋭く磨き上げることを目指します。さらに思考の整理、社会への伝え方、地域の文化の調査を通して得られる行動力と共感力、課題発見力など、これからの社会に繋がるために必要な力をデザインの視点から学びます。これらを複合的に織り上げ、現実空間に展開する実感を伴った豊かさの価値を提示する学びと研究の場です。
豊かさを実感できるこれからのものづくりを、未来に向けて一緒に考えましょう。
専門科目の紹介
3年
- ものづくりデザイン演習1
- 学生は各自、木工・染・陶芸・プロダクトAの中から1分野、彫金・ガラス・漆・プロダクトBから1分野、合わせて2分野を選択する。分野ごとに与えられた課題を通して、
1.ものづくりデザイン専攻の特徴である実材制作に必要な素材に対する基礎的な知識や加工技術
2.たたずまいなどの情緒性を刺激する造形力
3.現代社会や歴史・風土の中に埋もれた価値を発掘するための情報収集技術や編集技術など、創作に必要な基礎力を育成する。
- ものづくりデザイン演習2
- 共通の課題とキーワードを演習1の学びを通して解釈し作品制作を行う。各自が演習1で選択した2分野での学びを応用し深めながら、合同のガイダンス・プラン発表・最終発表に取り組む。それぞれの分野に特有の価値観や制作展開、加工技術の違いを共有することにより、現代社会に必要とされる価値の提案に向けた各自の目的意識を磨き、素材や技法のみに、またコンセプトや文脈のみに囚われない多様な創造力の育成を行う。
- プレゼンテーション演習
- クリエーションに関わる人間として、相手に正しく伝わるテクニックを演習として学ぶ授業。自身をテーマに捉え、自分なりのプレゼンテーション方法を作り上げる前半と、後半では映像プレゼンテーションや、具体的なポートフォリオ制作を行い、社会との接続を意識した構成となる。
- 地域産業研究
- 秋田県内閣地域の産業を、直接現地に赴き自らの身体と感覚で調査し、研究結果を共有する。県内産業に対する理解を深めるとともに提案力を磨く。
4年
- ものづくりデザイン演習3
- 各自が学んできた素材に対する知識と技術・デザイン能力を起点に、地域産業や地域文化の特性をおおらかに再解釈し、人々の日々の意図な身に関わる作品を制作する。またグループワークを通じ、多様性に対する理解や、コミュニケーション能力・多角的に対象を観察する感覚を磨き、発想や表現の柔軟性を育成する。
- 卒業研究
- 3年半の学びを通して得られた知識と技術を基に作品を制作する。学生は主体的に自由に研究テーマを設定し、期間を通じ自らの完成と技術を磨いていく。専攻所属の全教員で指導にあたり、学生個々の多様なテーマに基づいた表現を目指す。
取得可能な資格
- 中学校教諭一種免許状(美術)
- 高等学校教諭一種免許状(美術)
- 高等学校教諭一種免許状(工芸)
- 博物館学芸員
卒業後の進路
各種工芸のスキルを持ち、新たなデザインを生み出したり、地域の活性化に寄与したりすることのできるデザイナー、そして現代の芸術領域の多元性を理解し、多様な価値を交換・共有する視点を持ちながら制作することができるアーティストを育成します。また、美術に特化した専門職業以外のいわゆる一般職(公務員や一般企業の社員)においても、専攻で培った専門性をいかせるように支援します。
具体的には、各種の工芸展覧会で作品発表する工芸作家、家具メーカー(工房)、ガラス製造業(工房)、ジュエリーメーカー(工房)、織物メーカー(工房)、陶磁器製造業(工房)、日用品メーカー・玩具メーカー(工房)、食器製造業などで働く技術者、教員などを輩出します。
主な進路実績
(一般企業等)
株式会社アーバンリサーチドアーズ、草津ガラス蔵、株式会社ケイ・ウノ、蔵王焼 万風窯、株式会社猿江ガラス、株式会社See Visions、有限会社白石木工、株式会社つむら工芸、DCM株式会社、株式会社デザインココ、ブリヂストンサイクル株式会社、株式会社保志、株式会社マルニ木工、特定非営利活動法人みやぎ・せんだい子どもの丘、株式会社杢目金屋
(公務員、教員)
東京都特別区、仙台市教育委員会
(進学)
秋田公立美術大学大学院、岩手大学大学院、東京藝術大学大学院
※そのほか、作家活動等をしている卒業生もおります。