上榁健人(2016)
アーツ&ルーツ専攻/2016年度卒/MADHOUSE入社
秋田コンプレックス。
出身は福島市で大学進学まで秋田に来たことはありませんでした。美大に来る理由も何かがやりたいというのではなくて、なんとなく来たんですけど。でも堅いことは自分には合ってないのかな、絵を描いたりするのが合ってるのかなっていうのはありました。
秋美で学んでみて、自分のオリジナリティーを見つけて作品にするっていうのがやりたいことなんだというのが結論で、今回のペン画の作風に落ち着きました。ここに至るまでいろいろあったんですけど、線画で描くっていうのは共通していて、線だけてどれだけものの立体感を出せるかっていう緊張感の中でやってるところが強いですね。描いてるときはずっと他のことを考えていますね。明日どうしようかな?とか何食べようかな?とか。いろんなことを考えられる時間を絵の中で見つけられるっていうのがすごい贅沢だなって思っていて、描きながらそういう時間を得ています。
今回卒業制作に、風俗とか居酒屋だったりいろんなものが混在している町「川反」を選んだのは、秋田に来た時に秋田は人も少ないし、退屈だなみたいなコンプレックス(劣等感)があって、近場の賑やかな感じのところに行ってみようと思って行ったのが川反でした。コンプレックスは問題意識としてはあって、それがないと絵も描かなくなるのかなあと思うので大事にしています。たまたま今は秋田にいますけど、これって秋田のことだけじゃないんですよね。こういうところは他にも沢山あって、どこに行っても誰しもがこういう感情になることはあって、そういうのを絵にしてなんとなく伝わればいいなと。意味とか特になくやりたかったので、川反を純粋にモノとして見た時にどう見えるかってところをそのまま描きたかったです。
就職は東京のMADHOUSEというアニメーションの会社に決まりました。まだまだ自分でも見えていない線の引き方みたいなものが沢山あるなと思っていて、そういうのを知れた時、できた時の快感をもっと味わいたいっていうのが最初の入社の動機でした。アニメはそこまで好きなわけではないし、オタクでもないですが、知らない線を味わいたいっていうのがあります。
東京は情報量がすごく多いんだろうな、とは思いますね。情報量が多過ぎると、逆にコンプレックスとか感じなくなるのかなとも思いますね。人がいないといろいろ考えちゃって不安になりますね。東京行って変わりたいですね。