中須賀愛美(大学院2年) 修了制作研究展「忘れること、なくなること、そのゆくえについて」(~12/15)
2019年12月13日
本学大学院複合芸術研究科2年生の中須賀愛美さんが、修了制作展覧会を開催しています。ぜひ足をお運びください。
「忘れること、なくなること、そのゆくえについて」
会期:令和元年12月15日(日)まで 11:00~19:00
会場:「アラヤニノ」 (秋田県秋田市新屋扇町84-27)
入場:無料
「展覧会ステイトメント」
修士課程の2年間で、記憶に関わることがらをテーマにした制作や現場でのプロジェクトを、自分が今暮らしている秋田という地域を足がかりに行ってきた。本展覧会ではそれらの様相を、地域的な日常性を異化する視点を通して提示していく。
ある場において、たとえ一時は賑やかに栄えても、やがて陰りが見えてくるものごとがある。こうしたものごとに接して呼び起こされる感情にはどこかしら、寂しさを感じる。時代の変化からの逃れようのなさを感じてしまうからかもしれない。しかしそこに目を向け何があるのかを見定めようとしてみる。すると、廃れていくという感傷を超えてより一層微妙に見えてくるものごとがある。それはその場に溜まった記憶の重なりのことであったり、今その場に関わっている人々の想いであったり、そこで育まれた人間関係であったりする。ささやかなものとして見過ごされているそれらは、忘れること、なくなることに際して意味を帯び出す。ここには、焦点を合わせようとすると見えなくなるが、ぼんやりと眺めた時にふっと知覚できる、小さな星のように現れてくる光景があると感じる。
忘れること、なくなること。そうした衰勢が持つ含みの中で立ち現れてくるものの意味を、本展覧会で問い直したい。