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#レクチャー「集団で逗留し、巡る」

#五城目町

#金島隆弘

冬編 Lecture

金島 隆弘

 

 

開催日:2019211

会場: 五城目町 ギャラリー「ものかたり」

 

 

金島隆弘氏は、京都市立芸術大学大学院の博士課程に在籍するアートプロデューサー。それ以前は、東アジアをベースに数々のプロジェクトを手掛け、国内外を飛び回っていた。レクチャーでは、これまでの仕事やディレクターを務める沖縄の「やんばるアートフェスティバル」について紹介した。

 

 

 

現在41歳の金島氏は、30代までの仕事を一旦リセットし「学生として京都に来ると何が起こるのか」と、自分を試す気持ちで2年前から京都で学生生活を再開した。大学院では戦前の日本美術を研究しながら、同大学の嘱託員として、また、京都造形芸術大学では非常勤講師として日本画を教えている。そして今も動ける範囲でアートディレクションやキュレーション等を続けている。「今こういうこと(活動)ができるのは、それまでの仕事や出会いが全てつながっているから」と話す金島氏は、現在から過去を遡(さかのぼ)る形でキャリアを振り返った。

30代の頃は、「アート北京」「アートフェア東京」など大規模なイベントのディレクションを担当。また、日本と中国をつなぐレジデンスプログラムや台湾での陶芸展、韓国でのキュレーションなどの企画も数多く手掛け、「アジアをぐるぐるしながら美術で生きてきた」。金島氏がアートの仕事を始めたのは、2004年「東京画廊+BTAP」での勤務から。この画廊では、2008年の北京オリンピック開催まで、北京のギャラリーを担当した。

 

金島氏は現在、沖縄の「やんばるアートフェスティバル」で、アジアンアーティスト部門ディレクターを務めている。昨年から始まったこのアートとクラフトの祭典は、観光オフシーズンの冬、豊かな海と森に囲まれた沖縄県北部のやんばるエリアで行われる。ユニークなのは、吉本興業が主催者であること。お笑いの吉本が本格的なアートに参入するのは初めての試みだが、同社は「沖縄国際映画祭」を10年以上続けている実績がある。

 

 

金島氏が演出で目指したのは、「東京を介さず、地域同士でつながりながらプロジェクトを進めること」と「アートに関わらず参加アーティストがやりたいことを自由にできる場作り」。辺境地だからこそ実験的な試みも可能になる。中には、「バンドを組む」「居酒屋を開く」「野球場を作る」アーティストもいた。金島氏は「作品をただ展示すること以外のアートの可能性を模索した。これからも沖縄の地域性を生かし、アーティストや来場者がリラックスしながらアートに関わる環境を大切にしていきたい」と語った。