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#プレゼンテーション

#武田彩莉

プレゼンテーション

武田 彩莉

 

 

夏編と冬編に参加した武田彩莉さんは、「模写」テーマにプレゼンテーションを行った。

ギャラリーの「床の間」には、障子の格子戸を模写した一枚の絵が飾られていた。「意匠としてさまざまな形で模写され続けてきた富士山を、私も光に当てて写した。模写は同じことの繰り返しと言われるが、この絵を描くことで、私はアーティストになれた」と武田さん。

 

 

「模写を床の間に飾ることで、この絵はアートに昇華した。私たちはこの先も模写しながら更新を続けていく」。模写を通じて「あるものに近づこうとする姿」を発表のコンセプトにした。

五城目町よりも小さな町の出身だという武田さんは「この先、存続すべきなのか、なくなるべきなのか分からないような土地に生まれ、その中で繰り返される物事は、どれも延命治療のように見えていた」。根子集落で鑑賞した「根子番楽」も長い年月をかけて続けることや、繰り返されていることは、自分の故郷と同じことのように感じた。「その過程に創意工夫はあるのか?」が自分への問いかけになった。

曹洞宗の寺院で座禅を体験し「何かをするための手段というよりは、心を空にして座禅を行うことで、仏の姿に近づけるという話に感銘を受けた」という武田さん。「真似するだけで何かになれる」ことに創造性を感じて制作に取り組んだ。今回の旅をふり返り「模写の多重性や繰り返しによって表れる差異のような部分」に興味がわいた。「模写という行為を通じて、地域で育まれた習慣や伝統が表れてくることが分かった」とふり返った。