朝倉 泰臣
朝倉泰臣さんは、今春から秋田公立美術大学大学院に入学が決まっており、ウオーミングアップを兼ねて当プロジェクトに参加。プレゼンテーションは3つのパートに分けて行われた。
始めに朝倉さんは、小上がりの座敷に鑑賞者を移動させ、自作の紙芝居を披露した。タイトルは「旅するきりたんぽぅ」。子どもに話しかけるように朗読を始めた。
「きりたんぽぅ君のお友達は、マイタケさん、セリさん、地鶏さん…」。ある日旅に出たきりたんぽぅくんは、海に出てお魚くんに出会い、おしょうゆ君とワサビくんと醤油くんと友達になった。中国では、豆腐や唐辛子、片栗粉。インドでは、インディカ米とカレー。ヨーロッパではパンとシチュー。そしてアメリカではソーセージに出会った…。世界中で新しい友達をつくった後、日本の「きりたんぽ鍋」に戻るというストーリー。
次に、紙芝居の中に登場した料理を、受講者の皆に振る舞った。海はワサビ醤油味、中国は麻婆豆腐味、インドはカレー味…どれも変わり種のきりたんぽだ。「料理を囲みながらみんなで話すきっかけを作る」の狙いだった。
最後に、自身の旅と制作を振り返った。「旅は自分にないものに出会うことで、自分の価値をはっきりさせていくための手段」と朝倉さん。
今回の旅で訪れた三種町の松庵寺で話を聞くうちに「真実をどのように捉えるか」という視点を得たという。制作の手段を考えたとき、できるだけ幅広い層に向けて表現しようと選んだのが「旅するきりたんぽぅ」という物語であり、パフォーマンスであり、そしてコミュニケーションだったという。「紙芝居は子どもたちに可能性を提示することができる。絵本は想像力を掻(か)き立てる。共感を生み出す余白を鑑賞者に与えたかった」とまとめた。