島 崇
ユース・プロボケーター
私は2018年に実施された旅する地域考「秋田で着想する夏編」と、2019年の「秋田で構想する冬編」どちらにも参加した。夏編での他者との出会いは私のこれまでの価値観を大きく揺さぶり、私の秋田との関係性や立場を明確にした。そして新たな概念を秋田から着想するに至った。また、お会いしたいと願っていた方々とも出会うことができた。正に人生のターニングポイントになるような旅だったと思う。さらに冬編ではその概念/モチーフから派生した実験を検証する機会も得た。夏編で得たモチーフは冬編を経て私の作品の根幹を支えている。
最後のその一端を紹介したい。少子高齢化が最も進む秋田は「日本の未来の姿」とも言われている。そのように考えると秋田の人々は「未来人」であり、その一挙手一投足が日本の未来を形作ると言っても過言ではない。秋田の人々が幸せに暮らすこと、それは私たちの希望なのだ。だがここで言う「幸せ」とは何だろうか? 私たちは無意識に自身を抑圧しているような気がしてならない。私たちは何を遺し、何を手放す必要があるのだろうか? これは私にとって演劇を通じて考えたい問いの一つである。これからも秋田と向き合い続けていきたい。