キュンチョメ
「コウモリだけが知っている」ことを知りたい!!
<スライド発表>
秋田で旅をしている間に考えた3つの軸
1)この場所の穴
2) その穴の対照にある空
3) 両方を自由に飛べる存在である鳥
この3つの軸の真ん中にあるのがコウモリだと気が付いた。
イソップ童話でコウモリは「卑怯者」として描かれ、いいイメージがない。それでも生き残ろうとした姿勢をリスペクトしている。暗い穴に住み、世界を逆さまに見ているコウモリは「超イケてるアーティストなのではないか?」と思うほどに、シンパシーを感じる存在である。
そして、私たちはコウモリによく出会っていることにも気が付いた。
旅に出るとよく足を運ぶ、その土地の信仰や神々と結びつく場所には必ずコウモリがいた。
実例1:秋田の隠れキリシタン洞窟
鉱山夫の隠れキリシタンが掘ったと言われる洞窟の奥には十字架がある。ここに2、3匹のコウモリがいた。コウモリはここに十字架があることを知っていて番をしているのではないか。コウモリがいるところに神様がいるのではないか?
実例2:ミャンマーのバガン
パゴタ(仏塔)のほぼすべてがコウモリの巣になっている。コウモリの糞だらけの場所を素足でいかないとブッダを拝めない場所となっている。
実例3:沖縄の山中、戦中に天皇の写真を集めてアメリカ軍から隠した穴
入口には「天然記念物のコウモリがいるから入らないでください」と書かれた張り紙がある。コウモリたちを抜けて進んだ先には、写真を収めたといわれる遺構が残っている。
ここでもコウモリが番をしている、コウモリだけが知っている場所。
実例4:秋田で最も有名な神様「なまはげ」、実はコウモリ!?
漢の武帝が中国連れてきた5匹のコウモリが、鬼の姿に化けた。男鹿に着いたところで「なまはげ」になったという説がある。神の使いがコウモリで、トランスフォームできる存在。
何かがつながっている存在こそコウモリではないか。
今までは自分たちが訪れた先でたまたまコウモリに出会ってきた。しかし、その逆を考えると、コウモリに道先案内人をしてもらうことができるのではないか?
もしそれが可能なら、普段気が付かない信仰の場、もっと太古とつながる場所、人間世界の真隣にありながらも知らない場所にたどり着くことができるのかもしれない。
コウモリは絶滅危惧種に分類されている。これは、我々が住む場所に「穴」というものが減っていることに通じる。しかし、コウモリはまだ絶滅していない。コウモリだけが知っている穴がまだあり、我々も暗い穴の中から逆さまに、ダイナミックに世界を見ることができるのではないか。
テーマソング:黄金バットテーマ曲
「コウモリだけが知っていることを知りたい」という気持ちが秋田で生まれた。
コウモリを道先案内人とすることで、世界に空いている穴に導かれてみよう、コウモリの目線でもう一度世界を見直してみようという欲望が湧いた。
アートとは新しい快楽を見つけることだと考えている。
コウモリによってその目線、新しい快楽が見つけられるのではないかということに気が付いた。