島 崇
「乾杯の練習−来るべきときに備えて」
<配布テキストの読み上げと、参加型の「練習の稽古」による発表>
「乾杯の練習−来るべきときに備えて」
<テキスト朗読>
秋田の日常をアートの力で捉え直すことに本当に意味があるのだろうか?
リハーサルシティー、練習都市としての秋田。
「乾杯の練習」という大きなフレームでイベントを展開できないか。
「さかのぼる練習」
未来から過去にさかのぼる、最初の稽古をこの場所でやってみる。
<パフォーマンス>
島:あなたはタイムトラベラーです。
あなたが幸せだと思う秋田は200年後の2218年になります。時代を遡ってできるだけ近づいてみましょう。
ここは、秋田を一望できる「セリオン」の展望台です。セリオンというのは秋田のスカイツリーと呼ばれています。受講生の方に参加をお願いしたいのですが…野口竜平さん、よろしいでしょうか?
<野口竜平さんを舞台上に招き、稽古を行なう>
島:今何が見えるのか、暖かいのか寒いのか、一体どんな音が聞こえるか。何でも、嘘でも本当でも黙ってしまってもいいので話してもらいます。
時間は、音楽が鳴っている2分30秒。
気軽に周りの景色を観察してみてください。練習なので正解や不正解はありません。
お気軽にやってみてください。
野口:足湯に浸かっています。子どもが遊んでいて、ベンチがくるくる回っていて、夕日が見えてくる。
島:周りには誰かいますか?
野口:髪の長い人はいるけれど、秋田の人ではないかもしれない。
島:では、ちょっと2150年の秋田に行ってみましょうか。どうでしょう?
野口:なんか、なまはげみたいなのがいるんですけれども。
島:どこにいますか?
野口:飾ってあるみたい。でも、それもなんと言うか、泥や剣がついていて、洗練されているようには思えない。
島:じゃあ、もう50年行ってみましょうか。2100年の秋田です。
野口:ちょっと自分が知っている秋田ではないみたいです。
島:そこの望遠鏡で覗いてみてください。
野口:すごい。宇宙と地球と住んでいる何かが見えます。
島:宇宙が見えたんですね。
野口:はい。でもやっぱり秋田なのかな、という気持ちもあります。
島:じゃあ、もうちょっと行ってみましょう。2050年の秋田です。
野口:自分の知っている秋田の姿に近いなと思います。強いて言うならば、髪の毛がめっちゃ長い人が多いなという感じです。
島:はい戻ってきました。ありがとうございました。
島:こういう練習なので間違っていてもどうなってもいい。今お見せしたのは、本当に作品を作るプロセス、そこに意味がある。色々な稽古がなされて、テキストを作成したり、誰かに書いてもらったり、様々な練習を重ねることによってシーンを立ち上げていきたいと思っている。
<テキスト朗読>
過去から現在、現在から未来、そして未来から過去へのベクトル。さまざまな時系列を行き来しながら、練習とは何か、そこで浮かび上がるものは何かを探求していきたいと思っている。