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#武田彩莉

プレゼンテーション

武田 彩莉

「遠足のしおり-この山からあの田んぼまで」

 

〈スライド発表、しおりを配布〉

 

 

今回の旅を通じて、自分は旅が嫌いだということに改めて気が付いた。それでも重い腰を上げて個人の旅ができたのは、このプロジェクトに参加する口実があったからだ。そこで、日帰りで参加できる「遠足」という形式で動けない人のための旅の枠組みを作ろうと思い、しおりにまとめた。

 

 

「遠足のしおり-この山からあの田んぼまで」

 

・形式:遠足(4時間)

・参加者:アーティストではない、よそから来た人たち

・移動手段:バス(2時間に1本運行。スケジュールに拘束され、どこにも行けない時間)

・目的:地域の人に出会い、ユートピア的な部分と、地域の現実的な問題の両方を見た上で、自分のことを考えてほしい。

・「明日からのスケジュール」という項目:今まで目をそらしていたことに向き合う時間。旅を振り返って「何かが変わるかもしれない」という期待を込めて、翌日のプランを立てる時間。

 

 

個別リサーチでは、事前連絡を取らずに親戚が暮らす場所を訪ねた。田園風景が広がるような、一種のユートピアを想像していたものの、そこで会った祖父母や親戚たちは老老介護など、辛い現実を抱えていた。私自身も知ってはいたが、目を背けたまま忘れていたことだった。

 

親戚に会った瞬間に暗い気持ちになったが、旅の目的だったお墓参りに連れて行ってもらった時、田んぼの風景がとても美しかった。「ここ、きれいでしょう。私達は街よりもここに住む方が好きなんだ」と祖母が話すのを聞いたとき、そこには自分の選択があるのだと感じた。そこで暮らしている人達には、きちんとした生活があり、外から来た人間が悲観的になるものではないことに気が付いた。