夏編レポート DAY3
2019.8.3
ついに始まった「旅する地域考 辺境を掘る夏編」。現場に同行しているスタッフがその様子をレポートします。
どっとはらぇ
3日目、旅の一行は、鹿角市花輪にある明治時代の造り酒屋「関善(せきぜん)」で「鹿角の昔話を語る会」に参加した。鹿角では、今なお数多くの民話や伝説が語り継がれている。「鹿角民話の会どっとはらぇ」の語り部たちが「光る怪鳥伝説」など、3つの昔っこを披露してくれた。
物語の締めくくりには、「めでたし、めでたし」「どんとはれ」「とっぴんぱらりのぷぅ」など、その土地特有の結びのバリエーションがあるとのこと。鹿角の場合は「どっとはらぇ」。
民話の会の語り部によると、「どっとはらぇ」の語源は「お祓い」だという一説があり、「どっと祓われて現実に戻る」「現実と物語の境目にある」という意味も含まれているそうだ。
「昔話の台本はあるんですか?」と質問した受講生がいた。鹿角には500ほどの民話があり、それを書き記した冊子もつくられているが、「昔話は生きているんです」「一人ひとり、その場の状況に合わせながら、心で対話をするように語っています」と答えた語り部たちの言葉が印象的だった。国内外から集まったタビコウのメンバーにとって、オール秋田弁の語りはやや難しかったかもしれないが、そこはあまり重要ではない。ゆっくりと、やさしい口調で語られるリズムがすこぶる心地良かった。
2019.8.3旅程
9:00|銭川温泉 メンター 芹沢高志さんによるレクチャー
10:30|関善酒店 鹿角民話の会どっとはらぇ主催「鹿角の昔話を語る会」で昔語りを聞く
14:00|史跡尾去沢鉱山を見学
14:00|史跡尾去沢鉱山 現地講師 北村正人さんと佐藤友信さんによるレクチャー
16:30|道の駅おおゆ メンター 髙橋淳さんによるダンス・ワークショップ
18:00|康楽館 ゲスト講師 佐藤朋子さんと活動弁士 片岡一郎さんによるレクチャーパフォーマンスを鑑賞(※佐藤朋子さんはタビコウ2018夏編受講生)
文・写真/伊藤美生(編集班)