三浦 展
2020.9.27
社会デザイン研究者・三浦展によるレクチャー「コロナ後の地方と郊外」。社会生活や消費者動向を分析し、都市・郊外・地方が抱える問題について的確に予測してきた三浦は、暮らし方・働き方の多様化によって進んだ2000年代の「都心の郊外化」が終わりを迎え、2020年からは「郊外の都市化」の時代が始まるだろうと提言した。「コロナ禍による社会変化で職住分離のリスクが予想以上に高まり、在宅リモートが急増した。都心集中型のシステムが限界に近づき、都心から郊外へ、あるいは地方へと人が分散する2拠点居住の動きが広がっている」。
「ベッドタウン」に代わる、これからの郊外の在り方として三浦が提言するのは、郊外多拠点分散型の「クリエイティブ・サバーブ」という多様で暮らしやすい街づくり。子育て世代・高齢者・在宅勤務者が働きやすい「ワーカブル」な環境、都心に集中していた「夜の娯楽」、そして住民の資源(知識・経験・能力、空間・モノなど)を共有する「シェアタウン」が構成要素となる。郊外と比較して、多様な人々の受け入れ体制は追い付いていないが、この考えは地方都市にも通用するという。
多摩ニュータウンの「建築スナック」、郊外で形成されつつある「クリエイティブ・サバーブ」の事例や、2拠点居住、離島での起業により新しく築かれた地方コミュニティの動きが紹介された。
三浦 展
Atsushi Miura
社会デザイン研究者
1958年生まれ。82年一橋大学社会学部卒業。(株)パルコ入社。マーケティング情報誌『アクロス』編集室勤務。86年同誌編集長。90年三菱総合研究所入社。99年カルチャースタディーズ研究所設立。消費社会、家族・若者、階層、都市・郊外などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。
著書に『コロナが加速する格差消費』『第四の消費』『ファスト風土化する日本』『家族と幸福の戦後史』『都心集中の真実』『人間の居る場所』『愛される街』『首都圏大予測:これから伸びるのはクリエイティブ・サバーブだ!』『下流社会』など多数。
●カルチャースタディーズ研究所 http://www.culturestudies.jp/