「水曜日の地域考」は、AKIBI複合芸術プラクティス「旅する地域考alternative」が3回シリーズで行う一般公開講座です。「地域」の枠組みや役割を、現代の社会課題に紐づけて再考します。
日本のイージス・アショア配備計画の過程にみる「中央−地方」の構図の葛藤、新型コロナウィルスの世界的流行による個人の生活経済の変化、人種差別とそれに抗する人々の越境的連帯など、現代の多くの社会問題は、遠くの<他者>の問題であると同時に、今日を生きる<私>の問題でもあります。このような世界と<私>、そして自己と<他者>が乖離した現在において、私たちは、自らが育み育まれる「地域」という社会的枠組みをどのように考えていくことができるでしょうか。
「水曜日の地域考」では、3名の講師による具体的な事例に基づき、「地域とは何か」を再考する手がかりを探ります。
●第1回:9月23日(水)19:00~21:00
講師 松川敦志 (秋田魁新報記者)
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●第2回:9月30日(水)19:00~21:00
講師 三浦 展 (社会デザイン研究者)
☞終了しました。
●第3回:10月7日(水)19:00~21:00
講師 町山智浩 (映画評論家、コラムニスト)
☞終了しました。
<Open Lecture vol.1 松川敦志>
9月23日(水)19:00~21:00
地方紙記者の経験・視点から、「中央―地方」の関係性の未来形を問う—レクチャーでは、秋田魁新報社の松川敦志記者が取材班代表として取り組んだ秋田市へのイージス・アショア配備計画の報道を軸に、そこにみられる「中央−地方」の構図と力学、それと向き合う多様な当事者の葛藤、そしてこの慣習的な構図の綻びの兆しなどについてお話しいただきます。地方、国家、グローバル安全保障の課題が複合するイージス・アショア問題の一連のプロセスの検証をとおして、私たちが地域と呼ぶ社会的枠組みの将来を探ります。
松川敦志 Atsushi Matsukawa
秋田魁新報 記者
1972年、秋田県生まれ。1996年秋田魁新報入社。社会部などをへて2002年に退社し、翌年朝日新聞入社。東京社会部、那覇総局などをへて2016年に那覇総局長を最後に退社。同年再び秋田魁新報入社。編集委員をへて2020年4月より社会地域報道部長。イージス・アショア報道で取材班代表として2019年度新聞協会賞を受賞。
<Open Lecture vol.2 三浦 展>
9月30日(水)19:00~21:00
都市、消費といったテーマで社会について切り込んできた三浦展さんの目にコロナ禍の現状はどう映っているのでしょうか。以前から世界中で広がっていた格差は、コロナウィルス感染拡大の状況によって確実に加速され、様々な場所において可視化されています。そして、それは私たちの生活空間、あるいは地域にどのように影響し、それらを変容させ、どこに向かっていっているのでしょうか。レクチャーでは、消費社会研究の第一人者である三浦さんならではの現状分析を踏まえ、未来の社会への提言を伺っていきます。
三浦 展 Atsushi Miura
社会デザイン研究者
1958年生まれ。82年一橋大学社会学部卒業。(株)パルコ入社。マーケティング情報誌『アクロス』編集室勤務。86年同誌編集長。90年三菱総合研究所入社。99年カルチャースタディーズ研究所設立。消費社会、家族・若者、階層、都市・郊外などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。
著書に『コロナが加速する格差消費』『第四の消費』『ファスト風土化する日本』『家族と幸福の戦後史』『都心集中の真実』『人間の居る場所』『愛される街』『首都圏大予測:これから伸びるのはクリエイティブ・サバーブだ!』『下流社会』など多数。
<Open Lecture vol.3 町山智浩>
10月7日(水)19:00~21:00
「水曜日の地域考」最終回の講師は、カリフォルニア在住の映画評論家、町山智浩さん。メディアやSNSで、つねに批評的かつタイムリーな情報を発信している町山さんには、アメリカの歴史から現在進行中の社会問題まで、「地域」や「民族」についてのトピックを絡めて、Q&Aトークでお話を伺います。アメリカで長く暮らしていると、肌身で感じる社会的課題には、どのような背景があるのでしょうか。日本ではあまり知られていない情報を中心に引き出していきます。そしてもちろん、テーマに関連する映画の話題もしっかりとご紹介いただきます。
町山智浩 Tomohiro Machiyama
映画評論家、コラムニスト
1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。雑誌「映画秘宝」創刊後、97年渡米。現在カリフォルニア州在住。著書に『トラウマ映画館』『ブレードランナーの未来世紀』『最も危険なアメリカ映画』など。BS朝日『町山智浩のアメリカの今を知るTV』放送中。