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Report 04

黄敏旻(コウミンミン)

 

半生・半熟

 

 

もし今までの旅を「身体の旅」と言うのなら、オンラインの旅は「意識の交流」なのではないか。「旅する地域考」を経験して、「半生・半熟」という旅の感覚が生まれた。生と完熟の間にある状態が、「オンラインはリアルに見えるが、リアルではない」という感覚に似ている。 台湾にいた頃、タピオカはあまり好きではなかったが、コロナ禍で制限を強いられる日々の中で、飲む回数が増えたように思う。最終発表では、記憶の中のタピオカミルクティをいまの居住圏で実在化することで、自身の複雑な感情を考察した。私にとってのタピオカは、日本の流行でも、台湾の日常でもない。「半生・半熟」であるのがふさわしいと感じた。

 

 

 

黄は、タピオカの記憶を辿る映像を制作。映像の中のラジカセからは、ブームを伝える日本のニュース音声が流れ、台湾のタピオカ店のアナウンス音に切り替わる。方位磁石を掌にのせて町を移動し、福岡のタピオカ店でミルクティーを購入。自宅で同じメニューを作り、比較した。「日本でのタピオカ流行は、台湾にいた頃の自分の記憶とは違うので混乱した。SNSで台湾人の意見も集めた上で、今生きている空間で身体を動かし、タピオカを自分で作ることによって、その実感を捉えようと試みた」。本物のようでどこかが違う、「半生・半熟」という感覚が芽生えたという。

 

 

 

黄 敏旻(福岡)

Minmin Huang

大学院生

1996年台湾生まれ。大学卒業後に日本に留学。九州大学芸術工学部修士課程在学中。大学時代に日本の地域を舞台とするアートプロジェクトと出会い、アーティストの芸術実践に興味を持つようになった。モノのデザインより、コトのデザインに関心を持つ。現在、アートと地域の関係性を考察する上で、運営側が担う役割を研究している。