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Report 05

兒玉真太郎

 

連鎖する地域 千葉県柏市から

 

移動が極端に制限された時期、私は、家で過ごす時間をこれまでの旅の整理に充てた。旅をすることは、旅先となった地域を把握するだけではなく、結果として自分の住む街との差異を見つける過程でもある。私の住む街は東京から30km離れた、典型的な郊外。

都内の大学に通うようになってから、小学校から高校のあいだにこの街で過ごした記憶は、少しずつ遠く離れてゆく。当時の経験や、その後知るようになった地域の情報は、私の中で断片的に取り残されていた。

だから、似た地形や似た景色、同時代間の横のつながりに注目して旅をすることにした。同時に、自分と地域との連続性が掴めていく気がする、そんな旅である。

 

 

 

いわゆる郊外と認識される千葉県柏市に生まれ育った兒玉は、「自分の生活圏」を旅した。土地の歴史調査に絡めながら、自身のライフヒストリーも紐解いた。江戸時代の牧、農地、戦時中の陸軍飛行場、戦後の住宅開発など、柏市の谷津の利用方法を時代ごとに追いかけ、現在この町に暮らす自分の立ち位置を確認。「時代も距離も超えた旅ができた。自分の専門(地理学)ではここまで掘り下げられなかった。柏はあまり好きではないが、自分もこの町の一部であることを認めざるを得ない」。岸健太は「地理学では俯瞰の視点も大切だが、この発表で兒玉さんの人間性まで明らかになるプロセスが興味深かった」とコメントした。

 

 

 

兒玉真太郎(千葉)

Shintaro Kodama

大学生

1998年千葉県生まれ。法政大学文学部地理学科在学中。長崎県にある炭鉱の島(池島)の地域構造について研究。民俗や建築、産業への興味から、生活圏をめぐる旅行を行なっている。今年5月、日々の生活の背景にある地域の変化を捉え、提案に繋げることを目標に、音楽や写真を通して日本各地をみつめるメディア「どこか」を立ち上げた。