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Report 07

日比野桃子

 

複数の身体が集まることによって炙り出される環境=「地域」と定義してみる

 

 

オンライン上に「地域」は存在し得るのか。タビコウでもさまざまな切り口から議論がなされたが、私は「身体」から考えたい。「身体」は人の思考の起点であり、かつその全てを媒介する。「身体」を介した思考はオンライン上で「情報」となる代わりに、物理的な飛距離を獲得した。

そもそも全ての思考は、距離にかかわらず「情報」となって他者に伝わる。手の中の感触を伝えようとする時、その身体の「反応」が自ら持つ言葉に変換される。言葉に変換される前の段階の「反応」を共有することは可能か。個人的な仮説だが、その「反応」は生きるものとしての原初的な部分では同じものをもつ。その同一性が共有された時、人はそれを「地域」と呼んだりもする。

 

 

 

「身体が集まるところに地域があるんじゃないか?」。ディスカッションでこう発言した日比野。手塚夏子の「反応する身体」、樋口直哉の「地域は行為に宿る」という二人の言葉に引き付けて、自身の問いを深く掘り下げた。発表では、全ての所作の根源となるものをキウイにたとえて解説。「人間の原初的な部分が環境にアクセスする。同じ環境を別々の身体で知覚した上で行き着く場所が地域になり、そこで共有・反復・忘却の行為を繰り返すことで、習慣や儀礼が生まれると仮説した」。

 

 

 

日比野桃子(秋田)

Momoko Hibino

大学院生

1996年千葉県生まれ、秋田在住。踊ってしまう身体に興味がある。場所や時間に呼応する身体を観察し、感覚の変化を追いかけたり、何かに変換したり、その過程を他者と共有する方法を考える。人がそれぞれの身体を根拠に思考していくために、その身体のあり方を模索する。秋田公立美術大学大学院2年生。「辺境を掘る夏編」「辺境を酌む冬編」も受講。