リサーチノート 02
「旅する地域考 辺境を酌む 冬編」の実施に向けて、旅考の運営メンバーは、次の旅先となるにかほ市と由利本荘市を事前に訪れ、リサーチを続けています。さて、この冬は、どんな場所にみなさんをお連れするのか。どんな体験ができるのか。現地で見つけたことや、感じたことを少しずつご紹介していきます。
ひらかれる不可視の水系
山体に降る雪と雨は地中深くまで染み、不可視の水脈を経ていずれ裾野のどこかに湧く。九州のある土地では、雨水は60年間地中を旅し温泉として湧くと聞く。ジャワの山々は広大な平野の方々に水を湧かせ、糧の生産を支えていた。
乾いた晴れの日には曲線の山体の全てを現す鳥海山。山頂から海まで至る錐形の土地の断面系と山麓の極座標的な平面系が接するところに、水を巡る人の生の証拠が現存する。
山、農、酒、漁、祭、踊。
触れられる証拠達と不可視の水系の繋がりを探る最適の方法は、旅してそれを想像すること。そしてそれを表現すること。
文・写真/岸健太(メンター)