旅する地域考 2019夏編 未知の日常から、新たな問いと発見を生み出す。

旅する地域考 2020冬編 未知の日常から、新たな問いと発見を生み出す。

Tabiko News タビコウニュース

冬編レポート

DAY8

2020.1.15

 

「辺境を酌む冬編」、現場に同行したスタッフによるレポートをお届けします。

 

 

Let It Shape You

 

象潟公会堂を会場に、受講者15名の最終発表が終わった。

綿密に打ち合わされた発表順によって、1つの場所を時間差で利用し、限りあるプロジェクターなどの備品を共有。進行まで受講生一体となって取り組んでいた。

1階のホールだけではなく、回廊から天井まで会場全体を活用した。食べたり動きながら見たりする発表もあり、どれも多様で質の高い作品に仕上がっていた。

 

質が高かったからこそ、ゲストメンターからは、厳しい講評が引き出される。

原万希子からは「自分の作品を最高に見せるために、こだわるべき。なんで全員が等しく15分ずつで納得しているの?なあなあで仲良しでやってはだめ」。世界の第一線で活躍するキュレーターによるコメントに、受講生は発表後も気持ちが休まらない。

シャルミラ・サマントからは「チームとして活動していたのは素晴らしい。一方で、秋田公立美術大学だけでなく多様な大学や異なるバックグラウンドを持つ人々が集っているのに、その専門性(Practice)の違いをぶつけ合っただろうか。実践を通して、異なる専門性を共有していくことに集団で旅する意味があるはず。」と旅の質を問いかける。

ポール・アグスタも受講生の発表に心動かされていた。この8日間の取り組みを通してアーティストとして最も必要なことを言葉にする。「いくつかの作品では、初期のアイデアにこだわりすぎて、行き詰まっていた。アーティストは変化に開かれていなければならない。常にアイデアを考え続け、より一層発展させ、組み立て続けること。アイデアへしがみつくエゴを眠らせてみよう。そして、この8日間の旅に身を委ねて、旅にあなた自身を形づくらせてみよう (Let it shape you)」。

 

旅が成立するのは、旅人の態度による。

旅に出る前の自分でい続けるのか、または旅に自身を形作らせ変わってしまうのか。

幸いにもこの8日間続いた集団の旅は、1人残さず全員を旅人に変えてしまったようだ。

 

文・写真/柳澤 龍(ファシリテーター)

 

 

2020.1.15旅程

 

8:00|横岡集落 「サエの神行事」小屋焼き見学 ※希望者のみ

9:00|象潟公会堂 設営

13:00|象潟公会堂 最終プレゼンテーション

19:00|八千代寿司 打ち上げ

 

 

 

2018アーカイブ
2019夏編アーカイブ
冬編 参加者募集中