霊峰鳥海山がまたがる秋田県と山形県の県境に位置するにかほ市は、雪国秋田県の中で最も温暖な地域です。海岸線から山頂までの直線距離は、わずか16キロメートル。ブナの原生林に囲まれた鳥海山北麓には、「元滝伏流水」「獅子ヶ鼻湿原」「奈曽の白滝」など、神秘的な水の森が広がります。
鳥海山の冷たい伏流水が日本海に注がれることにより、真夏に旬を迎える「岩ガキ」は、この地域ならではの珍しい特産のひとつ。
また、にかほ市象潟は、江戸時代に俳人・松尾芭蕉が「おくのほそ道」で訪れた場所。その当時の九十九島は、辺り一面が海に囲まれ、小さな島々が点在していたといわれます。
由利本荘市は、2005年に8つの市町が合併した秋田県内最大の面積を誇るまち。沿岸には日本海、内陸には鳥海山、そして鳥海山を源流とする子吉川の流域に市街地が形成されています。かつて旧本荘市には六郷氏の本荘藩、旧岩城町には亀田藩、そして旧矢島町は讃岐より移封された矢島藩生駒氏の城下町として栄えた経緯があり、それぞれの地域で育まれた歴史と文化が融合されています。
また、鳥海山の北麓は、鳥海山をご神体とする山岳信仰と密接に関わる地域でもあります。国指定重要無形文化財に指定されている由利本荘市の「本海獅子舞番楽」を筆頭に、「猿倉人形芝居」「屋敷番楽」など実に数多くの獅子舞や番楽がこの地域に集中しており、今なお盛んに継承されています。