第2回 コマンド・直線・たくさんの直線


準備作業
  1. プログラム「DBN(Desin By Numbers」入手
   ・教室内サーバーから入手(\\victory\2004-public)→ フォルダ名:dbn
   ・ホームページから入手(http://dbn.media.mit.edu/)  

  2. 各自のMOデスクに保存


1 BEGIN はじめ

バウハウスやウルムなどに代表される世界的なデザイン教育機関では、かつて講師陣が秩序ある独特の教育方法を生み出そうと大変な努力をした。彼らの先駆的な努力により、大学という組織でデザインを教えることの意義が認められ、デザインが建設的な学問として認知されるようになったのである。ビジュアルデザインのプロフェッショナルの資格を得るために、修練の道具として、大きさに違いがあっても製図板が用意され、その上に洋紙と、ペンにインクが置かれるようになった。ところが80年代のはじめ、それまで数十年間営々と改善の上に築いてきたこのシステムを葬り去るかのように、新たな製図板、すなわちグラフィック用コンピュータが突如として登場した。ページ記述言語ポストスクリプトが誕生し、コンピュータ世代の若者を押し上げるべくツール・ソフトウェアの開発競争がはじまった。

この突然の変化を機に、コンピュータを伝統的なデザイン教育に取り込む試みが成されたが、いわば水と油を混ぜるようなものであった。

(中略)

無数の若いデザイナーが、私に同じ質問を問いかけてくることがそれを裏付ける。「どうやってプログラミングを勉強したらいいのですか?」これに対する適切な答えは、画家が「どうやったらうまく描けるようになれるのですか?」と聞かれた時のものと同じだということにようやくごく最近になって気がついた。「うんと練習しないといけない。そして何より生まれつきの素質が大事だ」。この答えに大抵の人はけげんな顔をする。

(中略)

Photoshopがどのように動いているかわかったからといって、デザイン・コンペで賞を獲得できるようになるわけでない。だが、本書の目的はまた、読者に特定のツールを開発したり真似をしたりするようになってもらうことでもない。本書を読み終わるころには、コンピュータ・メディアから人間が作り上げることができるものの可能性が見えてくるようになっていると思う。基本的なスキルを身に付けたならば、はやりのツールによって固定化されてしまっているデジタル・メディア・デザインのパラダイムを突き破るような、先端のコンセプトを探ることができるかもしれない。獲得したスキルをもってさらに各自のクリエイティビティを羽ばたかせれば、デジタル・メディアの真価を引き出すような独自の実験研究や作品に到達できるだろう。


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