伝統を大切に
子どもを思う親の気持ちさえあれば




 新屋の「鹿嶋さん」をこよなく愛する中野源一(72)さんにお話を伺いました。

 今と昔の鹿嶋さんでは何が変わったでしょうか?
 祭り当日の早朝に行われていた露踏みがなくなってしまったなぁ。これは、日の昇る前に裸足になって草刈り場を走るもので、朝露を含んだ草を踏んで走るのは気持ちのいいものだったな。今では草刈り場というものがないし、空き缶やガラスのかけらなんかがあって裸足では外を歩けなくなってしまったからね。

 鹿嶋さんを続けていくのに大変なことはなんですか?
 昔と違って、親が忙しくなってしまったことだな。昔は時間をかけていろいろな準備をしたりできたけれど、今はなかなか難しい。それに子どもの数も減ってきて、昔のように沢山の子どもで船を引くということは望めなくなってしまったね。
 それでも、どこの町内でも盛んに鹿嶋さんは行われているし、それは親が子を思う気持ちがしっかりしているからだと思うね。
 たとえばものが足りないとか、お金がないとかそういう物質的な障害はどうということないんですよ。だって、あの戦時中のもののない時にだって、大きな人形が作れなくても大人が仮装して船に乗ってやったくらいですから。
 とにかくこんなに子どもが中心のお祭りがずっと続いていると言うことは、新屋の人たちがいかに子どもを大事にしてきたかという現れなんです。この気持ちさえあれば、鹿嶋さんは必ずずっと続いていきますよ。
鹿嶋さん 元気に育て 厄を流す 唄と太鼓





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