地域醸造家とは何か まじわり、かもす

発酵は大豆や米などが菌と触れ合い、酒や味噌などへと変容する現象です。醸造家は素材や菌、温度や湿度を組み合わせ素材以上の味を引き出します。そこに着想を得て、地域の様々な資源、因子などを発見し、掛け合わせて新たなものへと変容させる人材を「エリアブリュワー・地域醸造家」と名付けました。これは一緒にその意味について迫った全5回の講座の記録です。

ワークショップ「地域の因子の潜在力を見出し、掛け合わせ、変容させる」

形式
ワークショップ
会場
Hostel & Bar CAMOSIBA
(秋田県横手市十文字町曙町7-3 0182-23-5336)
定員
受講登録者
講師
まちづくりファシリテーター 平元美沙緒
絵画作家・横手拠点地域アドバイザー 永沢碧衣

講座レポート

全5回の講座も中間点を迎えました。これまで第1回のシンポジウム、第2回のワークショップとフィールドワークと、地域を醸すということはどういうことなのかを考えつつ、情報の収集と選択の方法や得た情報が何なのか、どうしてそれらがここにある(地域因子としてある)のかを妄想するところまできました。今回はついに、因子を掛け合わせて異なるものに変容させる、つまり材料や酵素を揃え、掛け合わせて発酵の準備をさせる段階へと進みます。


前回10月8日は、まだまだ陽気を感じる十文字のまちでしたが、この講座の舞台となっているCAMOSIBAは土間の部分に雪囲いが設えられ、一気に冬の様相を見せていました。本格的に閉じられて、中で密かにクツクツと醸されていく醸造場が整えられているように感じました。


さて、前回はガイドマップや冊子、イベント情報誌、郷土史、ネットなどからの情報、十文字出身の受講生が見聞きしてきた情報と、CAMOSIBA界隈のフィールドワークによって見つけてきた物事やそれにまつわる物語の想像などを〈地域因子〉として採取し、カードにしました。今回は、それら採取した〈地域因子〉のカードを用いたワークショップから始まりました。2枚の〈地域因子〉のカードを引き、ワークシートに置いて考えます。二つの因子を単純に足してみたり、掛け合わせてみたりして、何か違うものを生み出していくというものです。3〜4人で一組となり20分程度、出していきます。時間がきたら席替えをして異なるメンバーでまた考えるということを繰り返しました。ワークの前にアイスブレイクとして行われた連想ゲームが効いているようで、とどまることなくアイデアが出てくるようです。講師であるファシリテーターの平元美沙緒さんから「突拍子も無いアイデアでオーケー」というお声がけもあって、最初は少し真面目な掛け合わせからのスタートでしたが、徐々に連想が繋がって、もとの因子からは即座に想像できないアイデアも出てきました。


午前のワークが終わりに近づく頃にはアイデアが止まらなくなってしまい、時間の制限で終了させざるを得ないような状況でした。お昼ご飯に向かう前にCAMOSIBAの壁面にワークシートを貼り出してみますと、四周が埋まるのではないかと思えるほどでした。


午後からは横手拠点の地域アドバイザーでもある絵画作家の永沢碧衣さんが進行役となり、自分が最も興味を抱かされたアイデアを選び、紹介することから始まりました。ここからは、想像上の変容を実現していく(表現物にしていく)段階へと入っていきます。選んだ理由とそこから何が表現できそうかを全員が話したうえで、コラボレーションを探りました。グループでの制作と個人の制作の方向性が少し見えたところで第3回の講座は終了しましたが、第4回までの間に、受講生の方々同士で連絡を取り合ったり、制作を始めたり、材料を集めたりされるようです。普段の生活で、「地域醸造家ってなんだろう?と考えてしまって…」というお話もあり、シンポジウムで天の戸の杜氏である森谷さんがおっしゃられたように、「発酵は止まらない」ことを実感しました。(田村剛)

横手かまくらFM紹介

「ア・ラ・美JOY」2017.11.10放送
メインパーソナリティ 岩澤亜沙美
(再生時間20:48)

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