地域醸造家とは何か まじわり、かもす

発酵は大豆や米などが菌と触れ合い、酒や味噌などへと変容する現象です。醸造家は素材や菌、温度や湿度を組み合わせ素材以上の味を引き出します。そこに着想を得て、地域の様々な資源、因子などを発見し、掛け合わせて新たなものへと変容させる人材を「エリアブリュワー・地域醸造家」と名付けました。これは一緒にその意味について迫った全5回の講座の記録です。

表現制作「変容を実現する」

形式
作品制作
会場
秋田公立美術大学(秋田市新屋大川町12-3)
定員
受講登録者
講師
絵画作家・横手拠点地域アドバイザー 永沢碧衣

講座レポート

講座第4回目は、これまでに学んできた「地域醸造家とは何かを考えること」、「地域因子の採取の仕方」、「地域因子からその来し方を想像する」、「地域因子を掛け合わせて異なるものへと変える」の総まとめへと流れ込んでいく表現物の制作です。 第3回から2週間、そして次回の展示会開始まで1週間と、非常にタイトなスケジュールで後半戦に取り組んでいます。そのため、横手拠点の地域アドバイザーである永沢さんから、あらためてスケジュールや役割、担当などを詳細に確認してからの制作スタートとなりました。この場面では、受講者からも積極的な提案やボランティアの声が上がり、この講座への直接的な関与を求める気持ちを垣間見ることができました。


制作は、前回できた二つのグループに分かれて進められました。一つは地域因子として採取されたCAMOSIBA周辺の看板や十文字和紙、対話で出てきたツツガムシなどがハンコとなり、それらハンコそのものも作品としてありつつ、十文字和紙や様々な生地をパッチワーク状に縫い合わせた十字路をイメージしたオブジェや、ツツガムシが無数に押されたトイレットペーパー、Tシャツなど商品をイメージさせるものもあります。ハンコやトイレットペーパーの作品などは個人の制作品ですが、事前のイメージの共有によって地域因子のハンコの発展的な活用が行われているように感じました。講座時間中は、十文字和紙や生地のパッチワーク制作を全員でチクチクと取り組んでおられた様子が印象的でした。


もう一方のチームは、CAMOSIBA周辺の道路、地面からインスピレーションを受けた作品です。融雪用の水が出てくるところに注目したり、地面のいたるところが苔むしていることに注目したり、神社の鳥居が二つあることなどを対話したことから、十文字の道やまちの変遷を象徴的に表現しようとしているようです。


地域因子を掛け合わせて変容させ、また、表現によって変容させるところまで遂にたどり着きました。 次回の講座第5回は、3週間にも及ぶ横手市内巡回展覧会です。(田村剛)

横手かまくらFM紹介

「ア・ラ・美JOY」2017.12.22放送
メインパーソナリティ 岩澤亜沙美
(再生時間14:40)

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